
イランを代表する国民食「チェロ・ケバブ」
イランを代表する料理といえば、真っ先に名前が挙がるものの一つが「チェロ・ケバブ(چلو کباب)」です。
「チェロ」はペルシャ語で炊いたご飯、「ケバブ」は焼いた肉を意味し、その名のとおり、香り豊かなライスとケバブを一緒に楽しむ料理です。サフランで美しく色付けされたご飯にバターを添え、炭火で香ばしく焼いた羊肉や牛肉、ひき肉などのケバブと一緒にいただきます。見た目は比較的シンプルな料理ですが、サフランの香り、炭火で焼いた肉の旨味、そしてライスとの組み合わせが絶妙です。イランではもちろん、ドバイやサウジアラビアでもチェロ・ケバブは非常にポピュラーで、ショッピングモールのフードコートなどでもよく見かけます。
ドバイやサウジアラビアでもおなじみの味
私自身、このチェロ・ケバブが大好物です。ドバイやサウジアラビアに滞在している間、毎日のようにチェロ・ケバブを食べていたこともあるほどです。お店によって肉の種類や焼き加減、サフランライスの風味などが少しずつ違うため、食べ比べてみるのも楽しみの一つです。日本ではまだそれほど身近な料理ではありませんが、中東を訪れる機会があれば、ぜひ一度味わっていただきたい料理です。
食文化というものは、その土地の歴史や人々の暮らしを知る入口にもなります。チェロ・ケバブを食べながらイランについて知っていくと、日本とイランの間にも長い交流の歴史があることに気付かされます。
日本とイランの長い交流
イランでは、日本や日本人に対して親しみを持っている方に出会うことがあります。
ニュースなどでも「日本とイランの伝統的な友好関係」という表現を耳にすることがありますが、両国の間では長年にわたり外交や経済、文化などさまざまな分野で交流が続いてきました。現在イランの外務大臣を務めるアッバス・アラグチ氏も、日本と非常に縁の深い人物です。アラグチ氏は2008年から2011年まで駐日イラン大使を務めており、日本での勤務経験を持っています。
また、現在国会議長を務めるモハンマド・バーゲル・ガリバフ氏がテヘラン市長だった頃に来日した際には、東京・お台場にあったパナソニックのショールームを視察されたこともありました。当時のイラン側にとって、日本企業の技術や製品が高い関心の対象となっていたことを感じさせる出来事でした。
食文化から考える、日本とイランの関係
現在、中東を取り巻く国際情勢は非常に厳しい状況にあります。こうした時期だからこそ、政治や安全保障だけではなく、その国に暮らす人々の文化や日常にも目を向けることが大切なのではないでしょうか。
「イラン」と聞くと、どうしても国際情勢やニュースのイメージが先行しがちです。しかし実際には、豊かな歴史や文化を持ち、独自の食文化が育まれてきた国でもあります。そして、日本とイランの間には長年培われてきた交流があります。現在のような難しい国際情勢の中でも、日本がこれまで築いてきた関係を生かし、対話や緊張緩和に向けて何らかの役割を果たしていくことを期待したいところです。
チェロ・ケバブという一皿から始まって、その国の文化や歴史、そして日本との関係にまで少し思いを巡らせてみる。
食を通じて中東を見ると、ニュースだけでは見えてこない違った一面が見えてくるかもしれません。
今後も中東各地の食文化や、現地で実際に感じたことをご紹介してまいります。
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